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貿易のリスクを軽減してくれるL/C(信用状)とは?
信用状取引のメリットと取引の仕組みを解説

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更新日:   公開日:

海外企業との取引は、日本国内での取引に比べて様々なリスクが伴います。 こうした貿易取引におけるリスクを効果的に軽減してくれるのが、L/C(信用状)です。 L/C(信用状)は、国際貿易において安全性や信頼性を確保するために広く活用されている決済方法です。
この記事では、L/C(信用状)が貿易取引においてどのような役割を果たしているのか、またL/C(信用状)を利用するメリットや仕組みについて詳しく解説します。 海外との取引を検討している方は、L/C(信用状)の基礎知識をしっかり押さえて、安全かつ円滑な貿易を実現しましょう。

サクッと理解!本記事の要点まとめ

L/C(信用状)とは何ですか?

L/C(信用状)とは「Letter of Credit」の略で、輸入者が自国の銀行に依頼して発行する支払い保証書類です。銀行が代金の支払いを保証するため、輸出者・輸入者双方の未払い・未着リスクを軽減できる国際貿易の決済手段です。

越境ECでL/C(信用状)は必要ですか?

取引金額が大きいBtoB型の越境EC(海外卸販売・大口注文など)では、L/Cが代金回収リスクを大幅に下げる有効な手段です。一方、小口のBtoC取引ではPayPalやクレジットカード決済が一般的で、L/Cは必須ではありません。2026年現在、地政学リスクの高まりで初めての取引先との取引にL/Cを活用する企業が増えています。

L/C(信用状)とT/T送金はどちらが安全ですか?

L/Cは銀行が支払いを保証するため、特に初取引の相手には安全性が高いです。T/T(電信送金)は手続きが簡単で手数料も安いですが、前払いなら輸入者がリスクを、後払いなら輸出者がリスクを負います。信頼関係がない新規取引先との大口取引にはL/Cが推奨されます。

L/Cの発行にはどれくらい費用がかかりますか?

費用は取引金額・銀行・発行国によって異なります。一般的に発行手数料(信用状金額の0.1〜0.3%程度)、通知手数料、書類取り扱い手数料などが発生します。小口取引では手数料負担が相対的に大きくなるため、取引金額との費用対効果を考慮した上で利用を検討することをおすすめします。

この記事でわかること
L/C(信用状)は、海外取引相手への代金未払いリスク・商品未着リスクを銀行が保証する国際決済手段です。2026年現在、米中貿易摩擦やトランプ政権の関税政策など地政学リスクが高まる中、初取引の海外企業や越境ECの大口BtoB取引でL/Cへの需要が再び高まっています。本記事では、L/Cの基本から種類・取引の流れ・他の決済手段との比較・越境ECとの関係まで、はじめての方にもわかるよう解説します。

L/C(信用状)とは?なぜ必要か

L/C(信用状)の定義

L/C(信用状)とは「Letter of Credit」の略称で、日本語では「信用状」と呼ばれます。輸入者が自国の銀行(発行銀行)に依頼して発行する書類で、銀行が代金の支払いを保証する仕組みです。

通常の2者間取引(輸出者↔輸入者)と異なり、L/C取引は発行銀行・通知銀行を含む4者が関与します。輸出者は「銀行が支払いを保証している」という確証のもとで商品を出荷でき、未回収リスクを大幅に下げられます。

💡 ポイント:L/Cが解決する2つのリスク

輸出者のリスク:「商品を出荷したのに代金が支払われない」→ 銀行が保証するため未回収リスクを排除できる。
輸入者のリスク:「代金を支払ったのに商品が届かない」→ 銀行は指定書類(船荷証券等)が揃った場合のみ支払いを実行するため、取引の透明性が担保される。

L/Cが必要な理由――2026年の地政学リスクとの関係

長年の取引実績がある信頼関係のある相手との取引なら、L/Cを使わなくても問題は起きにくいです。しかし初めて取引する海外企業や、信頼関係が未構築の取引先との大口取引では、L/Cが有効なリスクヘッジ手段になります。

2026年現在、L/C需要を後押しする背景として以下の状況があります。

背景要因 内容 L/Cとの関係
トランプ政権の関税政策 2025年、PwC Japanの調査では日本企業の47%が「関税引き上げ等の保護主義的政策」を自社への影響リスクとして挙げた 代金回収の不確実性が高まり、信用保証の重要性が増している
新興国市場の拡大 越境EC市場は2024年の約1兆USドルから2034年には6.72兆USドルへ拡大見込み(経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」) 新規取引先との大口取引増加に伴い、L/Cへのニーズが拡大
米中対立・地政学リスク 同調査で「米中対立の激化」を懸念する企業は38%。地政学リスクレベルが「高まっている」と答えた企業は82%で過去最高を記録 銀行の信用力を介したリスクヘッジとしてL/Cが再評価されている

出典:PwC Japanグループ「企業の地政学リスク対応実態調査2025」経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」

L/C取引の主な種類

L/Cには取引形態・リスク・契約内容に応じた複数の種類があります。代表的な7種類を以下にまとめます。

種類 特徴 主な用途・注意点
取消不能信用状
(Irrevocable L/C)
発行後、発行銀行・輸出者・輸入者3者全員の同意なく変更・取り消し不可 現在の国際取引の主流。輸出者に高い安全性
取消可能信用状
(Revocable L/C)
発行後でも発行銀行・輸入者の意思でいつでも変更・取消可能 輸出者リスクが高いため近年はほぼ使用されない
譲渡可能信用状
(Transferable L/C)
輸出者(第一受益者)が第三者(第二受益者)へ権利を譲渡可能 商社や仲介業者が介在する取引に活用
確認信用状
(Confirmed L/C)
発行銀行の保証に加え、輸出地の銀行(確認銀行)が支払い保証を追加 発行銀行の信用力に不安がある新興国取引に有効
回転信用状
(Revolving L/C)
一定期間内の複数回・継続取引に対応。都度新たなL/Cを発行する手間を省略 定期的・継続的な取引先との仕入れに最適
スタンドバイ信用状
(Stand-by L/C)
通常の支払いが不履行の場合のみ、発行銀行が支払いを保証。保証状の性格が強い 国内外で幅広く利用。契約保証・融資保証などにも使用
バック・トゥ・バック信用状
(Back to Back L/C)
自分宛てのL/Cを担保として、別のL/Cを新たに発行 三国間貿易など複雑な取引構造で活用

L/C取引のメリット・デメリット

メリット:L/Cを使うと何が解決するか

メリット 具体的な効果
@ 支払いの安全性が高まる 銀行が支払いを保証するため、輸入者が支払い不能になっても銀行が立て替え。未回収リスクを大幅に削減できる
A 初取引でも取引の信頼性を確保できる L/Cは国際的に認知された決済手段。信頼関係がない相手でも安心して取引を開始できる
B 輸出者の資金調達手段になる L/Cを担保として銀行から融資を受けることが可能。キャッシュフロー改善に役立つ
C 取引条件が書面で明確化される 必要書類・納期・支払い条件がL/Cに明記されるため、認識の相違や後のトラブルを予防
D 国際取引の透明性・円滑化 複数の国・銀行が関与することで取引の透明性が高まり、スムーズな決済が実現

デメリット:L/Cを使う前に知っておくべきこと

デメリット 対応策・注意点
@ 手数料・コストが発生する 発行手数料・書類取り扱い費用など複数のコストが発生。取引額・銀行ごとに異なるため事前に確認を
A 手続きが複雑で時間がかかる 書類作成・銀行とのやり取りが多く、決済完了まで時間がかかる場合がある。余裕を持ったスケジュールで
B 書類不備で代金が支払われないリスク 銀行は書類のみを審査するため、不備があると代金が支払われないケースも。書類の事前チェックが必須
C 柔軟な条件変更が難しい L/C条件への厳格な準拠が求められる。取引途中の変更はコストと手間が発生するため、契約時に条件を詰めておく

他の決済手段との比較(T/T・D/P・PayPal)

越境ECの決済手段はL/C以外にも複数あります。取引規模・相手との関係性・スピード要件によって最適な手段は異なります。

決済手段 安全性 手数料 手続きの手軽さ 主な用途
L/C(信用状) ◎ 最高水準
銀行が保証
△ 高め △ 複雑・時間がかかる 大口BtoB・初取引・高リスク国向け
T/T(電信送金) ○ 前払いなら輸出者有利
後払いなら輸入者有利
○ 比較的安い ○ 手続きシンプル 信頼関係ある取引先との中口取引
D/P・D/A △ 輸出者リスクあり ○ 中程度 ○ 比較的シンプル 輸入者への信用供与が必要な場合
PayPal・クレジットカード ○ チャージバック保護あり △ 手数料率が高め ◎ 非常に手軽 BtoC小口越境EC・消費者向け
エスクロー決済 ◎ 第三者が代金を一時保管 △ 手数料発生 ○ 比較的シンプル 越境EC・BtoB中口取引
⚠ 選択の目安:取引金額が大きく(数百万円以上)、かつ初めての取引先や政治的・経済的に不安定な地域との取引にはL/Cが最も安全です。継続的な既存取引先との小口注文にはT/T、消費者向けBtoC越境ECではPayPalやクレジットカードが一般的です。

L/C取引の全体フロー――7つのフェーズで整理する

L/C決済では、輸出者・輸入者に加えて2つの銀行が介在するため、手続きは複数のフェーズに分かれます。どのタイミングで何が起きるかをあらかじめ把握しておくと、書類準備や日程調整がスムーズになります。

  1. 売買契約の締結(輸出者・輸入者)

    取引の出発点は、両社間の売買契約です。決済方法としてL/Cを使うこと、船積み期限、必要書類の種類といった条件をここで合意しておきます。後のフェーズで書類不備が起きやすいのは、この段階での詰めが甘いケースです。

  2. L/C発行の申請(輸入者→発行銀行)

    契約内容をもとに、輸入者が自国の銀行(発行銀行)へL/Cの発行を申請します。有効期限・支払い条件・船積み期日・要求書類といった項目を具体的に指示します。

  3. L/Cの通知(発行銀行→輸出者)

    発行銀行は審査の後、輸出地側の銀行(通知銀行)を経由して輸出者へL/Cを届けます。この時点から、輸出者は「銀行が支払いを保証している」状態で準備を進めることができます。なお、国際的なL/C取引には信用状統一規則(UCP600)が適用され、銀行は書類のみを審査するという原則のもとで動きます。

  4. 出荷と書類の提出(輸出者→輸出地銀行)

    L/Cの条件を満たした形で商品を出荷し、商業送り状・船荷証券(B/L)・保険証券などの指定書類を期日内に銀行へ提出します。銀行が書類の条件適合を確認すれば、輸出者への支払いが実行されます。

  5. 書類の転送と代金の決済(輸出地銀行→発行銀行)

    輸出地の銀行は書類一式を発行銀行へ送付します。発行銀行が内容を確認し、問題がなければ輸出地の銀行に代金を送金します。

  6. 書類到着の通知と支払い請求(発行銀行→輸入者)

    書類が手元に届いたことを発行銀行から輸入者へ通知し、契約条件に基づいた支払いを求めます。

  7. 代金の支払いと貨物の引き取り(輸入者)

    輸入者が発行銀行に代金を支払うと、船荷証券などの書類が引き渡されます。この書類を船会社に提出することで、輸入者は実際の貨物を受け取ることができ、取引が完了となります。

越境ECにおけるL/C活用――BtoB取引での注意点

越境ECの拡大に伴い、L/Cの活用シーンも変化しています。越境EC市場は2024年の約1兆USドルから2034年には6.72兆USドルへ拡大すると予測されており、特にBtoB型の越境ECでは決済リスク管理の重要性が増しています。

越境ECでL/Cが有効なシーン・有効でないシーン

シーン L/C活用 推奨される代替手段
海外卸・BtoB大口受注(数百万円以上) ◎ 有効
初めての海外取引先との取引 ◎ 有効
政治・経済的リスクが高い地域への輸出 ◎ 有効 確認信用状が特に有効
継続的な既存取引先との小口注文 △ コスト高 T/T(電信送金)が効率的
消費者向けBtoC越境EC(小口) × 不向き クレジットカード・PayPal・エスクロー
東南アジア新興国との新規取引 ◎ 有効 確認信用状の活用を検討

越境EC事業者がL/Cを使う際の実務上の注意点

1. ECシステムとの連携を事前に確認する
受注確認・在庫管理・書類発行などの業務フローがL/C取引の書類要件と整合しているか確認が必要です。特に船荷証券(B/L)や商業送り状(Commercial Invoice)の発行をECシステムで自動化できるかどうかがオペレーション効率に直結します。

2. L/C条件と商品仕様・納期をECサイト上で一致させる
L/Cに記載された商品スペック・数量・納期がECサイトの商品情報と一致していないと、書類不備になります。特に多品目・複数ロットの取引では、受注時点でのデータ連携が重要です。

3. 銀行手数料をBtoB取引価格に織り込む
L/Cの発行・通知・買取には銀行手数料がかかります。商品単価や送料に加えてこれらのコストを価格設定に含めておかないと、利益を圧迫します。

出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」PwC Japanグループ「企業の地政学リスク対応実態調査2025」

まとめ

この記事のポイント
  • L/C(信用状)は、銀行が代金支払いを保証する国際決済手段。輸出者・輸入者双方のリスクを軽減できる
  • 2026年現在、地政学リスクの高まり(トランプ関税・米中対立)を背景にL/Cへの需要が再び増加
  • L/Cには7種類あり、取引形態・相手先の信用力・地域リスクに応じて選択することが重要
  • 越境ECでのL/C活用はBtoB大口取引・初取引・新興国向けに特に有効。小口BtoC取引には不向き
  • 書類不備による支払い遅延を防ぐため、L/C条件とECシステムのデータを事前に整合させておくことが実務上の重要ポイント

L/C(信用状)取引は手数料を支払うことで取引リスクを大幅に軽減できる仕組みです。特に初めての海外取引先との取引や、信頼関係が十分に築けていない取引先との大口BtoB越境ECには、L/Cを活用することで安心して取引を進めることができます。

ecbeingでは越境ECサイト構築の豊富な実績があります。L/Cにも対応可能なシステム提案が可能ですので、越境ECやBtoB取引を想定したECサイト構築をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

参考文献・出典一覧

PwC Japanグループ「企業の地政学リスク対応実態調査2025」(2025年6月)
経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」報告書(2025年8月)
越境ECのトレンドや市場規模:2025年の最新データと市場予測 | Shopify 日本
経済安全保障・地政学リスク2025 | KPMGジャパン





ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
  

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