
ECサイトの検索を進化させる!「セマンティック検索」とは?

サクッと理解!本記事の要点まとめ
セマンティック検索を導入する理由は何ですか?
従来のキーワード検索では、お客様が「夏に涼しい服」と検索しても「クールビズシャツ」や「通気性の良いブラウス」が見つからないことがありました。セマンティック検索は、言葉の意味を理解してお客様の本当の要望を汲み取り、適切な商品を提案できます。まるで優秀な店員さんがお客様の曖昧な要望でも「こちらはいかがですか?」と最適な商品を勧めてくれるような体験を、ECサイトで実現できるのです。
セマンティック検索とは具体的にどのような仕組みですか?
セマンティック検索は、AIが文章や商品説明の「意味」を数値データに変換し、似た意味のものを見つけ出す仕組みです。例えば「スマホ」と「スマートフォン」、「AI」と「人工知能」を同じ意味として理解します。さらに、検索結果をAIが再評価して、お客様の検索意図に最も近い順番に並び替える機能も持っています。図書館の司書さんが、お客様の質問を聞いて最適な本を選んでくれるイメージです。
ECサイトでセマンティック検索はどのような場面で活用できますか?
商品検索では「ペットと暮らすインテリア」のような用途ベースの検索で、爪とぎ防止カバーや消臭機能付き家具を提案できます。FAQ検索では、お客様が「返品したい」「交換したい」など異なる言い方をしても、適切なヘルプページに案内できます。カスタマーサポートでは、問い合わせ内容から関連する社内資料を瞬時に見つけ出し、迅速で正確な回答が可能になります。
セマンティック検索の導入でどのような効果が期待できますか?
お客様が欲しい商品を見つけやすくなることで、購入率(CVR)の向上が期待できます。また、FAQ検索の精度向上により、お客様の自己解決率が上がり、問い合わせ対応の負担軽減にもつながります。カスタマーサポートでは回答時間が短縮され、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に実現できます。結果的に、売上向上とコスト削減の両方を達成できる取り組みです。
セマンティック検索とSEOや従来の自動化との違いは何ですか?
SEOは検索エンジンで上位表示を目指す施策ですが、セマンティック検索は自社サイト内でお客様に最適な情報を提示する技術です。従来の自動化は決まったルールに従って処理しますが、セマンティック検索はAIが文脈や意味を理解して柔軟に対応します。例えば、従来システムは「赤いTシャツ」で検索すると赤色のTシャツのみ表示しますが、セマンティック検索なら「情熱的な印象の服」でも赤いアイテムを提案できる違いがあります。
ECサイトの検索を進化させる!「セマンティック検索」とは?
セマンティック検索は、ユーザーが入力した言葉だけでなく、その言葉の意味関係や文脈を理解して結果を返す検索方法です。
これまでのECサイト検索は「キーワードが一致すれば表示」でしたが、今は「何を知りたいのか」をくみ取って最適な情報を並べる時代になっています。
有名なのはGoogle検索です。
たとえば、以下のように検索してみてください。
- 「在宅ワークが快適になるアイテム」→ 昇降デスク、腰痛対策クッション、ブルーライトカットメガネ、デスク周り収納グッズなど、リモートワークの悩みを解決する商品が表示される。
- 「梅雨でも快適な通勤靴」→ 防水スプレー付きレザーシューズ、撥水加工スニーカー、速乾性のあるメッシュシューズ、滑りにくいラバーソールの革靴などが表示される。
- 「ペットと快適に暮らすインテリア」→ 爪とぎ防止カバー、防水ソファ、ペット用階段、消臭機能付き空気清浄機など、ペットとの共同生活を考慮した家具や雑貨が表示される。
きっとこのような検索結果が表示されると思います。
このようにセマンティック検索はユーザーの検索意図を理解し、キーワードの完全一致に依存しない検索結果を提供できます。
そして、AIを使えばセマンティック検索をECサイトに取り入れることが可能です。
キーワード検索やベクトル検索との違いは?
種類 | 説明 |
---|---|
キーワード検索 | 入力された単語が含まれている文書や商品説明を探す技術。 |
ベクトル検索 | 文章や商品説明をAIが理解できる数値データに変換し、意味が近いもの同士を探す技術。 |
セマンティック検索は、上記のような特定の検索技術を指すのではなく、ユーザーが本当に求めているものを理解して結果を出す仕組み全体のことを言います。
セマンティック検索では内部的にはベクトル検索を使います。
オプションでさらに従来のキーワード検索も組み合わせることで、総合的な答えを提供することもできます(ハイブリッド検索)。
ベクトル検索に関しては以下の記事で詳しく解説しております。
前回記事はこちら。
セマンティック検索のポイントは?
表現の違いを吸収
従来の検索では同じことを言ってるのに、書き方が違うと見つからないことがありました。
- 「スマホ」→「スマートフォン」
- 「AI」→「人工知能」
このようなひらがな・カタカナ・漢字の違い、全角・半角、表記の揺らぎなどの表現方法の差異を吸収できます。
店員さんが、お客さんの『あの青いやつ』という曖昧な言い方でも『あ、あのブルーのTシャツですね』と理解してくれるような感じです。
再ランク付け(re-ranking)とは?
ベクトル検索でいったん候補を取り出したあとに、AIが改めて「どれがユーザーの意図に近いか」を再評価する処理です。
- ベクトル検索で一次候補を集める
- AIがその候補を読み、意図に沿う順に並び替える(再ランク付け)

セマンティック検索の効果を更に高めるには?
セマンティック検索の効果を更に高めるために、先述の通り、通常のベクトル検索に加えてキーワード検索も併用できます。
例えばカフェの店員さんがお客さんからおすすめに聞かれた時、
- キーワード検索:「おすすめメニュー」に載ってる商品をリストアップ
- ベクトル検索:お客さんの雰囲気を見て「疲れてそう→甘いもの好きかも」と関連商品も考える
→ 「午後3時だし、コーヒーと合うケーキを一番におすすめしよう」
その人のその瞬間にぴったりな提案ができるイメージです。
検索結果例
他にも参考例を示します。
- 1位 「夏用快適事務服セット」
キーワード:「夏」○、「快適」○、「事務服」○
意味の近さ:とても近い
商品説明:"通気性抜群の夏向けオフィスウェア"
最終評価:★★★★★ - 2位 「クールビズ対応シャツ」
キーワード:3つとも含まない ×
意味の近さ:とても近い
商品説明:"暑い季節のオフィスワークに最適"
最終評価:★★★★☆ - 6位 「事務服収納ケース(夏冬快適収納)」
キーワード:「夏」○、「快適」○、「事務服」○
意味の近さ:遠い(服ではなく収納用品)
商品説明:"事務服を夏も冬も快適に保管"
最終評価:★★★☆☆ - ランキング除外 「メンズカジュアルTシャツ」
キーワード:3つとも含まない ×
意味の近さ:遠い(カジュアルすぎる)
商品説明:"休日のお出かけに最適"
最終評価:★☆☆☆☆(検索結果から除外)
このように、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせ、両方の検索結果を加味した総合的な順位を出すことができます。
活用には何が必要?
セマンティック検索の結果は事前に用意したコンテンツの質に左右されます。
FAQ、マニュアル、商品カタログなどを整理しておくことが前提です。
ビジネス活用例は?
- ■商品検索
「夏に快適な事務服」のような状況・用途ベースの問いにも、素材説明や着用シーンの情報から意味が近い商品を上位表示。 - ■FAQ検索(自己解決の促進)
言い回しが違っても、意図に合うFAQが上位に出やすくなる。 - ■カスタマーサポート
社内資料から該当部分を即座に抜き出して提示。生成AIではないため出典が明確。
当社でもセマンティック検索をAIデジタルスタッフで採用しており、現在多くのEC事業者にご導入を頂いております。
AIデジタルスタッフの詳細はこちら。
まとめ
セマンティック検索は、ユーザーの言葉の意味や文脈を理解して、検索意図をくみ取った最適な結果を返す検索手法です。
ユーザーが自分の言葉で質問しても、欲しい答えがすぐ見つかることで、ECサイトのCVR向上や自己解決率アップに貢献します。検索のヒット率はコンバージョン率に直結するため多くの企業で導入が進められています。
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