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コスメEC最新動向と成功事例
市場規模・課題・成長のポイントを徹底解説

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更新日:   公開日:

化粧品やコスメを製造するメーカーや、販売するドラッグストアでも近年EC化が進んでおり、多くの化粧品・コスメをECサイト上で購入することが可能になりました。また、2020年の新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化などもあり、ECという販路は注目が集まっています。
今回は、市場規模などの現状や最新の事例などから、化粧品・コスメECサイトの構築・リニューアルを成功させるためのポイントを解説していきます。

サクッと理解!本記事の要点まとめ

コスメECの業界の特徴は何ですか?

コスメECとは、化粧品やスキンケア、ヘアケアなどの美容商品をインターネット上で販売する仕組みです。近年はメーカー公式オンラインショップだけでなく、ドラッグストアやECモールなど多くの事業者がオンライン販売を強化しています。

化粧品・コスメECの市場規模はどのくらいですか?

財務省『広報誌「ファイナンス」』によると、世界の化粧品産業の市場規模は、2030年までに年間平均11%の伸び率で成長すると予測されています。

EC化率が他カテゴリより低い理由は?

化粧品は「実際に試してみないと分からない」経験財であり、日本はドラッグストアなどの実店舗が充実しているため、対面での販売が根強く残っています。また、安価な商品が多い一方で、カウンセリングを伴う高価格帯商品もあり、ECだけでは対応が難しいケースも少なくありません。こうした背景から、化粧品分野はEC化率が他のカテゴリーと比べて低い傾向があります。

近年、化粧品メーカーやドラッグストアなど、さまざまな事業者がEC(インターネット通販)に取り組み始め、コスメをオンラインで購入する選択肢が大きく広がっています。2020年以降のコロナ禍によるライフスタイルの変化も追い風となり、コスメEC市場への関心はますます高まっています。

しかし、他業界と比べると、コスメ分野のEC化率は依然として低い水準にとどまっています。 本記事では、化粧品・コスメの市場規模や業界が抱える課題、さらにECサイトの構築・リニューアルを成功させるためのポイントや、注目すべき成功事例について詳しく解説します。


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コスメECとは?業界の特徴

コスメECとは、化粧品やスキンケア、ヘアケアなどの美容商品をインターネット上で販売する仕組みです。近年はメーカー公式オンラインショップだけでなく、ドラッグストアやECモールなど多くの事業者がオンライン販売を強化しています。

コスメEC業界の最大の特徴は、「24時間いつでも、どこからでも購入できる利便性」です。店舗に足を運ぶことなく、自宅にいながらさまざまなブランドや商品を比較し、気軽に注文できます。また、実店舗に比べて運営コストが抑えやすいのもECならではの強みです。さらに、レビューや口コミを参考に商品を選べる、セールやポイントなどEC限定の特典が豊富、海外発送や多言語対応によるグローバル展開がしやすいといった点も、コスメECならではのメリットといえます。

このように、コスメECは「手軽さ」「お得さ」「情報の充実」など、現代の消費者ニーズにマッチした特徴を持ち、今後もさらなる成長への関心が高まっています。

化粧品・コスメECの市場規模とEC化率

財務省『広報誌「ファイナンス」』によると、世界の化粧品産業の市場規模は、2030年までに年間平均11%の伸び率で成長すると予測されています。

コスメEC市場は年々拡大していますが、物販全体と比べると、EC化率はまだそれほど高いとは言えません。



出典:財務省『広報誌「ファイナンス」』


2023年の「化粧品・医薬品」分野におけるBtoC-EC市場規模は9,709億円となり、前年から5.64%増加しました。EC化率(=業界全体の売上に占めるECの割合)は8.57%と、他の物販分野と比較するとやや低い水準にとどまっています。



出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課(2024)
令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

このカテゴリーには、化粧品全般、医薬品、美容・健康関連器具が含まれます。2023年の1世帯あたりの年間平均支出は「化粧品等」で49,590円(前年比4.8%増)、「医薬品等」で66,350円(前年比1.0%減)でした。化粧品分野では、マスク着用の規制緩和や新型コロナウイルス感染症の分類見直しにより外出機会が増え、メイクアップ用品の支出が拡大したことが市場の成長を後押ししています。 一方で、医薬品分野はコロナ禍で衛生商品の需要が急増しましたが、2023年はその反動で支出がやや減少しています。

EC化率が他カテゴリより低い理由

化粧品業界は、国内大手、通販系、外資系企業が混在し、販売チャネルも百貨店、GMS、ドラッグストア、コンビニ、訪問販売、カタログ通販、テレビ通販など多岐に渡ります。

化粧品は「実際に試してみないと分からない」経験財であり、日本はドラッグストアなどの実店舗が充実しているため、対面での販売が根強く残っています。また、安価な商品が多い一方で、カウンセリングを伴う高価格帯商品もあり、ECだけでは対応が難しいケースも少なくありません。こうした背景から、化粧品分野はEC化率が他のカテゴリーと比べて低い傾向があります。

コロナ禍以降の変化と今後の展望

2020年には新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛やインバウンド需要の消失で市場が縮小しましたが、2021年以降は徐々に回復し、2023年にはコロナ前の2019年を上回る市場規模となりました。特にオンライン会議の普及で自身の顔を見る機会が増えたことで、男性の美容意識が高まり、男性化粧品市場の拡大も一因となっています。

また、化粧品メーカーはEC強化のため、肌測定ツールやメイクシミュレーション、Web広告、ライブコマースなどの新しい施策を導入。大手メーカーを中心に、LINEやチャットを使ったオンラインカウンセリングも普及しています。さらに、AR(拡張現実)を使ってサイト上でバーチャルにコスメを試せるサービスも登場し、ECならではの利便性が高まっています。

2023年は外出機会の増加で実店舗の利用も回復しましたが、コロナ禍をきっかけに進んだオムニチャネル化によって、実店舗とECの役割分担が進んでいます。今後も、両者の特性を活かした連動強化が進むと見られています。

化粧品・コスメECが伸び悩んでいる理由

コスメECは拡大を続けていますが、他業界と比べてオンライン化が進みにくい独自の課題を抱えています。市場構造や消費者行動、厳しい法規制など、コスメならではの壁が存在します。

@実店舗ネットワークの強さ

日本ではドラッグストアや百貨店など、全国的に実店舗の流通網が発達しています。多くの消費者が普段の買い物の延長でコスメを購入できるため、オンラインであえて注文する動機が生まれにくい状況です。特に低価格帯の商品は、送料や配送待ちの手間を考えると、実店舗での購入が依然として主流となっています。

A体験価値の伝達の難しさ

化粧品は使用感や色味、香りなど実際に手に取らないと分かりにくい要素が多い「経験財」です。実物を試すことができないオンラインでは、商品の魅力や違いが伝わりにくく、購入の決め手に欠けてしまう場合があります。写真やテキストだけで価値を伝えることの限界が、EC普及の壁となっています。

Bパーソナライズされた提案の必要性

スキンケアやメイクアップ商品は、個々の肌質や悩みに合わせた選択が重要です。実店舗ではビューティーアドバイザーによるカウンセリングや提案が受けられますが、オンラインではこうしたパーソナルな接点を再現するのが難しいのが現状です。単に商品を並べるだけでは、消費者の多様なニーズに十分対応しきれません。

C法規制と情報発信の制約

化粧品や医薬品のオンライン販売には、薬機法などの規制が多く存在します。誇大広告や表現への厳しい制限があるため、消費者に安心感を持たせながら、正しく魅力を伝えるバランスが求められます。オンライン特有のスピード感や情報拡散力を活かしきれない場面も少なくありません。

コスメECを成功させるための戦略と最新事例

化粧品・コスメECを成功させるには、デジタル技術やSNSを活用した施策が有効です。

デジタルカウンセリングサービスの導入

コスメECでは、ユーザーが自宅にいながら自分に合った化粧品を選べる「デジタルカウンセリングサービス」が注目されています。従来は店頭でしか体験できなかったメイク提案や色味確認を、AIやAR技術の活用によってオンラインで実現しています。たとえばKOSÉの公式オンラインストア「Maison KOSÉ」では、スマートフォンで撮影した顔写真を使い、AIが最適なメイクアップをシミュレーションするサービスを展開。これにより、ユーザーは自分の顔で手軽にコスメの仕上がりを確認でき、ECでの購入ハードルを下げています。

さらに、このようなデジタルカウンセリング技術はECだけでなく、実店舗のカウンセリングにも活用されており、オンライン・オフラインを問わず顧客体験の向上に貢献しています

オンライン接客・ビデオカウンセリングの強化

化粧品ECの成長には、リアル店舗での「美容部員による接客体験」をオンライン上でも再現することが重要です。近年、ビデオチャットやチャット接客を活用したオンラインカウンセリングが増加しています。大丸松坂屋百貨店の「DEPACO」では、専任のビューティーアドバイザーがマンツーマンでカウンセリングを行うサービスを無料で提供し、専門的なアドバイスや商品の選び方をサポートしています。

SNS・コンテンツマーケティングの活用

コスメECの売上拡大には、InstagramやYouTubeなどSNSを活用した情報発信が欠かせません。KOSÉではビジュアルマーケティングツール「visumo(ビジュモ)」を導入し、自社のSNS投稿や動画コンテンツをECサイト上でも活用。商品紹介やハウツー動画、ライブ配信など、豊富なコンテンツでユーザーの購買意欲を高めています。

また、ユーザーがSNSに投稿した写真やレビュー(UGC:ユーザー生成コンテンツ)をECサイト上で紹介することで、実際の使用感やリアルな口コミを伝え、信頼性向上や購入促進につなげています。大丸松坂屋「DEPACO」では、商品紹介だけでなく占いやインタビュー記事など多彩な読み物コンテンツも掲載し、ECサイトの滞在時間増加やファン作りに役立てています。

メインコンテンツに表示できる商品には限界がありますが、SNSを活用することでなかなか目に留まりにくい商品にフォーカスをあてることも可能です。そして、情報発信という意味合いでもメーカーが推奨する以外のユーザーがおすすめする利用方法や使用感などを伝えることになりユーザーのレビューと同等の効果をもたらすことが可能になります。

ビジュアルマーケティングツール「visumo」について 詳しくはこちら

インフルエンサーマーケティングの推進

インフルエンサーマーケティングとは、SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーを起用したマーケティング施策のことです。
SNSで大きな影響力を持つインフルエンサーを活用したマーケティングは、コスメECの認知拡大と新規顧客獲得に効果的です。自社ブランドや商品の世界観に合ったインフルエンサーを選定し、実際に商品を使用・紹介してもらうことで、リアルな使用感や魅力をユーザーに届けられます。キャスティング会社を活用した効率的なインフルエンサー選定も有効です。

ライブコマース・動画接客の強化

ラライブコマースや動画コンテンツを活用することで、ユーザーはリアルタイムで商品の色味やテクスチャーを確認し、気になる点を直接質問することができます。ライブ配信中にそのまま商品を購入できる仕組みを導入することで、購買行動のスムーズさとコンバージョン率アップが期待できます。

信頼性を高めるユーザーレビューの活用

ECサイトでは、ユーザーが実際に商品を手に取れないことから「本当に自分に合うか不安」という声が多くあります。そのため、ユーザーレビュー(口コミ)を充実させることは、コスメECの信頼性向上や購入率アップに直結します。
「THE BODY SHOP」の公式オンラインショップでは、レビュー最適化ツールReviCoを導入したことで、レビューの投稿数が導入前と比較して11.83倍、5段階評価の★は平均約4.3から4.6に向上したという結果が出ています。

こうして得たユーザーレビューの活用法はECサイト上のコンテンツにとどまりません。例えば、ECサイト上での購入体験に関するレビューであればサイトのサービス品質の向上に、実際に商品を使用した時の感想などのレビューであれば商品開発に活用することもできます。

THE BODY SHOP他ReviCoの事例のついて詳しくはこちら
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リピーターを増やす定期購入・会員サービス

コスメやスキンケア商品は消耗品のため、リピート購入を促進することが売上安定のカギです。定期購入サービスの導入や、会員限定の割引・クーポン配布、購入回数に応じた特典など、継続利用のメリットを用意しましょう。 例えば「DUO」公式通販サイトでは、定期便による特別価格販売を実施し、ユーザーの囲い込みとリピート率向上につなげています。新規顧客獲得コストが高いコスメECにおいて、リピーター施策の強化は必須です。

ECサイト上での定期購入の展開

化粧品・コスメは消耗品のため、ユーザーは定期的に商品を購入する必要があります。こうしたユーザーの商習慣に対応すべく、ECサイト上で定期購入のサービスを展開する事業者が増えています。
定期購入は「商品の買い忘れを防げる」というユーザーにとってのメリットはもちろんのこと、収益の見通しがしっかりと立てられる優良ユーザーを確保できるという点で、EC事業者にとってもメリットがあります。

こうした優良ユーザーに同じ商品を定期的に購入してもらうだけではなく、色々な商品を購入してもらえるリピーターになってもらうために様々なメリットを提供している化粧品・コスメECサイトが多くあります。具体的には初回購入時の割引や、他の単品商品の同時購入値引き、定期購入ユーザーのみへのクーポン配布、回数を重ねることによるインセンティブなどがここに該当します。

新規顧客の獲得に要する費用は既存顧客の5倍かかると言われています。定期購入を活用することでそのコストを抑えつつリピーターを増やすことで安定的な売上を上げることに繋がっています。

プレミアアンチエイジング株式会社が展開している化粧品ブランド「DUO」の公式通販サイトでは、商品を特別価格で販売する定期便を展開しています。

ecbeingで構築した化粧品・コスメECサイトの成功事例

ecbeingには1,600を超えるECサイト構築実績があり、化粧品・コスメを扱うサイトの構築も多数経験しています。今回はその中でも特に皆さんにご紹介したい、化粧品・コスメECサイトの成功事例を3つピックアップしました。

株式会社コーセー

2019年11月にコーセーの保有するブランドを集約し機能を充実させたオンラインサイト「Maison KOSÉ」を立ち上げ、12月には同名のコンセプトストアをオープンしました。「メイクアップシミュレーター」の提供や実店舗の販売スタッフのオムニチャネル化を推進するアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」の実装など様々な施策を行っています。

KOSÉの事例について詳しくはこちら
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株式会社ミルボン

美容室向けヘア化粧品で日本最大手の株式会社ミルボン。
BtoBtoC向けのECサイトを構築し、サロン様にちゃんと売上が計上され、顧客も普段通っているサロンから購入しているような状況、かつ物流から裏側の請求モデルは既存の商流を変えない形で作ることを意識されたビジネスモデルになっています。

ミルボンの事例について詳しくはこちら
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株式会社社大丸松坂屋百貨店

大丸松坂屋百貨店ではリアルとEC、オウンドメディア機能を組み合わせたメディアコマースサイト「DEPACO」を、2022年3月にリニューアルオープンしました。
DEPACOでは商品の魅力を発信してファンを創出するコンテンツだけではなく、美容部員のリソースを活用したオンライン接客や、自社倉庫を活用してオーダーが入り次第スピーディーな出荷を実現させています。

大丸松坂屋百貨店の事例について詳しくはこちら
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マルホ株式会社

皮膚科領域の医療用医薬品を中心に取り扱う製薬会社、マルホ株式会社では、ECサイトとブランドサイトを統合しました。
敏感肌やニキビで悩む方にスキンケアのお役立ち情報を届けるコンテンツの展開、動画活用ツールvisumoの活用などにより、それまで接点のなかった様々な層の方とのコミュニケーションを生みだしています。

マルホの事例について詳しくはこちら
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まとめ

これまで化粧品・コスメECは、商品の特性や実店舗の利便性などから成長が限定的でしたが、近年はマーケティング施策の強化やユーザーレビューの活用、定期購入サービスの導入などにより、多くの事業者がECでの売上拡大に成功しています。今後も業界全体でEC活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、オンラインでの体験価値や顧客満足度の向上がますます求められるでしょう。
化粧品・コスメECを成功させるためには、的確なマーケティング施策の実施、信頼性のアピール、そしてリピーターの育成が欠かせません。新規でECサイトを構築したい方や、既存サイトのリニューアルを検討されている方は、今回紹介した事例や戦略を参考に、自社ならではの強みを活かしたEC施策を計画してみてはいかがでしょうか。

化粧品・コスメECサイトの構築・リニューアルのご相談は
こちらからお気軽にどうぞ




ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
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