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【セミナーレポート】
Maison KOSÉハラカド「直営店とオンラインで生み出す顧客体験」

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公開日:

2025年9月3日、「Maison KOSÉハラカド『直営店とオンラインで生み出す顧客体験』セミナー」が開催されました。
本セミナーでは、国内EC業界シェアNo.1であるecbeingと、2024年8月にオンラインと融合した直営店「Maison KOSÉハラカド」を新しくオープンした株式会社コーセーが、直営店とオンラインで生み出す今までにない顧客体験についてディスカッションを実施しました。本レポートでは、セミナー内容の一部をご紹介します。

2025年9月3日、「Maison KOSÉハラカド『直営店とオンラインで生み出す顧客体験』セミナー」が開催されました。 本セミナーでは、国内EC業界シェアNo.1であるecbeingと、2024年8月にオンラインと融合した直営店「Maison KOSÉハラカド」を新しくオープンした株式会社コーセーが、直営店とオンラインで生み出す今までにない顧客体験についてディスカッションを実施しました。本レポートでは、セミナー内容の一部をご紹介します。

市場の変化とコーセーの新たな挑戦

私たちが今回新しいお店を考える上でまず向き合ったのは、日本の「人口減少」という、避けては通れない大きな課題です。特に、これまで化粧品のメインユーザーであった生産年齢(15〜64歳)の人口は、この10年で700万人も減っています。これは化粧品業界にとって、お化粧をする人の「顔が減ってしまう」という、とてつもなく大きなインパクトになります。
お客さまが減る一方で、働き手も減っていくという状況で、これまでと同じビジネスを続けていては未来がありません。そこで、コーセーでは新しい成長ドライバーとして3G(「グローバル」「ジェンダー」「ジェネレーション」)をキーワードとし、お客様を捉え直すことにしました。メイクを楽しむ男性も増えていますし、そのアプローチにはデジタル活用が不可欠です。

では、どんな新しいお店を作るべきか、百貨店や専門店、ドラッグストア、コロナ禍で成長したECを経て、もう一個先の新しい時代の“買い場”を何か提案できないかと考えました。
私たちが考えているイノベーションの定義は、「一度体験してしまったら、もう元の状態には戻れないもの」です。人々がスマートフォンなしの生活に戻れないように、化粧品の買い方においても、お客さまが「今までの買い方には戻れない」と感じるような、革新的な体験を創り出すというところに私たちはこだわりました。

新しい買い物のカタチ「サードプレイス」の創造

従来の店舗が「ファーストプレイス」、ECが「セカンドプレイス」だとしたら、そのどちらでもない、リアルとデジタルが心地よく融合した新しい体験の場、それが私たちの考える新しい時代の“買場”「サードプレイス」です。
「Maison KOSÉ ハラカド」は、単に商品を買う場所ではありません。誰もが気軽に立ち寄って、居心地よく過ごせる「アーバンカフェ」のような空間。そんなコンセプトを元に、お店のデザインも従来のような白くて明るい空間ではなく、あえてシックで落ち着いたトーンにしました。

また、この「サードプレイス」を実現するために、私たちは4つのポイントを大切にしました。
1. Exclusive(エクスクルーシブ):ハイプレステージブランド中心のMD展開
2. Partner Friendly(パートナーフレンドリー):誰もが入り易く、居心地の良い店舗空間づくり
3. Signature Activities(シグネチャーアクティビティ):何度でも”再訪”したくなる象徴的なオリジナルのサービス
4. Accessibility(アクセシビリティ):デジタルを活用したサービスへの高いアクセシビリティ
「Maison KOSÉ ハラカド」では、これらのコンセプトを具体的なサービスに落とし込んでいます。

「所有」から「利用」へというサブスク型消費スタイル

具体的なサービスの内容としては次のようなものになります。

“待ち時間”をエンタメに変える「GIFT FACTORY」

ギフトは準備する際にスタッフが梱包するため、それが“待ち時間”になって、お客さまにとっては負の時間になります。しかし、「Maison KOSÉ ハラカド」にはラッピングのスペシャリスト(ギフトスペシャリスト)が存在し、様々な包装紙やリボンなどを使い目の前でラッピングし、ギフトを作っている時間も見て楽しんでもらえるような仕組みにしています。
それだけでなく、お客さまの目の前で対象商品に刻印するというサービスもあります。

また、生成AIが名前のイメージからメッセージと画像を生成して世界で一枚だけのメッセージカードを作る『from THE NAME』というサービスも開発しました。ただの"待ち時間"を、こういったサービスを利用する時間に活用することもできます。
このように、「Maison KOSÉ ハラカド」は、ただの“待ち時間”になってしまうような時間を、エンターテイメントに変えるという発想をもとに創られています。

“所有”から“利用”へ、新発想の「COSME BUVETTE」

今の若い世代の価値観は、モノを“所有”するより、必要な時に“利用(アクセス)”するという傾向が強まっています。たとえば好きな映画や音楽があったとしても、そのCDやDVDを持つことはせずに、サブスクリプションで好きな時にアクセスするということが一般的です。 その発想から生まれたのが、多彩なコンセプトのドレッサーと豊富なテスターを時間貸しする「COSME BUVETTE」です。メイク直しだけでなく、友人とのメイク研究やSNSのライブ配信など、お客様が自由に使える空間を提供しています。

時間と場所の制約を超える「モバイルオーダー&コスメロッカー」

スマホで商品を注文し、営業時間外でも受け取れるロッカーサービスも導入しています。
デパートの店舗は混んでいることが多く、自分の順番が回ってくるまで時間がかかることがあります。また、目的地に向かう前にプレゼントを買いに寄り道したいけれど時間がない、寄り道した結果店が混んでいて遅刻する、ということも考えられると思います。このコスメロッカーのサービスでは、隙間時間にスマホで注文しておけば、あとは好きな時間に受け取りに行くことできます。お客さまの時間を奪わない、タイムパフォーマンスを徹底的に考えた結果生み出されたサービスになります。

「最高のCXは、最高のEXから」— 従業員体験への強いこだわり

”お客さま”の減少だけでなく”働き手”の減少という課題もあります。これに対するソリューションとして「EX(従業員体験)を起点にCX(顧客体験)の実現」を私たちは次のミッションとして考えました。これらは切り離して話されがちですが、EXを高めることで、結果的にCXがよくなるのではないかと考えたのです。

今の若い働き手は「デジタルネイティブ」であり、仕事場でデジタルの環境が整っていないことに対して働きにくさを感じ、始めは高い志を持っていても途中で離職してしまうことがあります。
化粧品販売の領域では、今でもアナログのやり方が残っていることが多々あります。例えば、店舗運営や接客についてわからないことは先輩に全部聞いて教えてもらわないと働けないという環境ですが、今の若い世代は、デジタルの環境さえ整っていれば自分で調べることに対して何のストレスもないため、人に聞くよりもまずは自分で調べられるという環境が整っていることが重要であり、それが結果的に周りとの円滑なコミュニケーションや人間関係の構築に役立つはずだと感じています。

また、お客さまとのコミュニケーションに関しても同じことが言えます。今回の「Maison KOSÉ ハラカド」でも実現しましたが、ギフトのオーダーをタブレットで完結できる仕組みは、従業員の聞き間違いなどのミスを防ぐだけでなく、覚えるべき膨大な作業から解放してくれるものでもあります。デジタルツールで業務を効率化して、スタッフが本来やるべきお客様への心のこもった接客に集中できる環境を作ることが重要だと考えています。

また、EXを高める取り組みはデジタルに限りません。以前、ミステリーショッパーの報告書で「閉店間際に店を訪れたら、美容部員が疲れた顔をしていて早く帰りたいように見えました。このブランドはよくないと思います。」という評価を受けたことがありました。それを見た時に、「人間なのだから、一日中あくせく働いたら疲れるのは当たり前なのに・・」と悲しく感じた一方で、「それなら、そもそも疲れない、パフォーマンスが落ちない仕組みを作ればいいじゃないか。」と思いました。 その時の思いを店舗設計にも生かしていて、例えば、美容室のように椅子の高さを変えることができたり、スタッフの動線を最適化した「システムキッチン」のようなカウンターを設計したり、一つ一つの身体的ストレスを徹底的に排除することを目指しました。

このプロジェクトは、最初から大きなチームで動いていたわけではありません。実は、私と課長、そして入社2年目の女性社員という、たった3人でスタートしました。 そこから、プロジェクトのフェーズに合わせて、現場の販売員やシステム部門の専門家など、必要なメンバーを都度アサインしていく形で進めました。そうすることで、様々な設計をするときに、より解像度の高い意見をプロジェクトに反映させることができるため、最終的に抜け漏れなどを減らし、EXやCXを高めることにつながっていったと思います。

新たな挑戦が未来を考えるヒントに

メーカーの直営店というと、百貨店など既存の流通各社との関係(流通ハレーション)が懸念されますが、今回はむしろ流通各社から「自分たちの未来を考えるヒントになる」と注目いただき、多くの視察希望の声をいただいています。私たちの直営店開発の使命を「コーセーに関わるお取引先にもヒントになるような新しいソリューションを考えていく」、そう位置づけることで、業界全体に貢献できると考えています。

まとめ

本セミナーでは株式会社コーセーの挑戦として直営店とオンラインで生み出す新しい顧客体験が紹介されました。リアルとデジタルが融合した「サードプレイス」をコンセプトに、「待ち時間のエンタメ化」や「コスメのサブスク的利用」など、現代の顧客の価値観を捉えた革新的なサービスが展開されています。この挑戦は、自社の成長に留まらず、既存の流通パートナーや業界全体に未来のソリューションのヒントを提示する、未来志向のプロジェクトと言えるでしょう。皆様の事業における新たな取り組みに、ぜひ本レポートをお役立てください。

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ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
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